プロローグ


異質なものにひかれ、異質なものを受け入れたがる。

異質なものを受け入れることで、

自分の中の足りなかった部分が満たされ、

そして本当の自分が出来あがる。


はじめて、Mであることを意識した時、

私はSであることを自覚している男の腕の中にいた。


異質なものの匂い。

求めていた何かがそこにあったからだろうか。


その腕の中は本当に居心地がよかった。


柔らかな責めの中で、

私は今までなかった快楽が一気に押し寄せてきて、

これが本当に「壊れる」といった感覚なのだと思った。



私は夢中で「壊れる・・・」と叫んだ。

彼は「壊れたらまた作り上げてやるから・・・

今度は俺の形に作り上げてやるから、安心して壊れろ」と言った。



私は快楽の渦の中で、

自分の居場所はここなのだと安堵感を感じていた。



彼とは最高の関係だった。身も心もいつも満たされていた。



私は彼の幻影を探しているのだけなのだろうか。

それとも・・・



いや。そうではないはず。

あれはきっと自分を解放するためのプロローグだったのだ。






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