L I P

word by さくらさん
キスが大好きな彼を想いながら
オレンジの香りのリップを買った。
小さなポットに入った、
みずみずしい果物の香りのオレンジのリップ
彼と過ごす夜は
シャワーをあびて鏡を見ながら
指ですくったリップを丁寧に唇にのせる。
洗いたての肌と乾ききらない髪と唇から
あまくて、 さわやかで
少し、 にがい、 オレンジの香り
照明を落とした部屋で
彼が好きな南の島の果物を
キスをしながらお互いの口に運ぶ
まぶたにも、 耳もとにも、 胸もとにも、
優しいキスをもらうと
リップの艶と果物のあまい果汁が、
混じりながら唇をつたう
「おいしそうな香りがするね。食べてほしいの?」
そう言って笑う彼に
こぼれた果汁を舐められながら
少しづつ 指をからめられて
私の体は とろとろに濡れてゆく
リップの香りなのか
果物の香りなのか
あまい眩暈の中で
熟れてゆく果実のように
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