M女妄想日記

過去日記(H14.11〜H14.12)
過去日記(H14.9〜H14.10)

2004年10月13日
◆In the place



無条件に甘えてしまいたいときがある。

愛する人との別離のシーンを慢性的に思い出すとき。
大好きだった人の大好きな台詞が頭から離れないとき。
そして、次の自分の行き場が見当たらないとき。

体がふわふわして、苦しいから
だからこの体がどこにも行かないように、
この辛さから、決して逃げてしまわないように
自分を自分で縛って動けないようにする。

どこにも行かなければ、またあなたに逢えるような気がして
いい子で頑張ったねと、あなたが迎えにくるような気がして、
だから私は解離した頭で、自分の手足をきつく縛り上げた。

無条件に甘えてしまいたいときがある。
無条件に甘えてしまいたいときがあったって
甘える場所が見当たらない。
私が甘えられる場所は取り上げられてしまい
だから今の私にできることは、ただ今を耐えて、
なんとか今をやり過ごすだけだ。

縄でぐるぐる巻きになったこのヌケガラで。
2004年02月19日
◆傍においで。



少年はどうしたらいいのかわからないといった様子で、私から少し距離を取った場所で、静かに座ってこちらを眺めていた。

二人っきりの空間に戸惑っているのだろうか。それとも年上の女に「何か」をされてしまうことを想像して怯えているのだろうか。

いつも誰かの支配下にある私にとっては、それはとても新鮮な姿だった。ご主人様はいつも私をこんなふうに感じているのだろうか。私はご主人様を愛するあまり、自分がご主人様にされたことをそのまま人にしてみたり、同じ台詞を口にしてみたり、そうやって彼の真似をすることで、そっくりそのまま、彼にリンクしてしまいたいという衝動にかられることがよくあった。

「どうしたの?こっちにおいで?何もしないから・・・傍においで。」 私は微笑み、そして優しく、それでいてその言葉には逆らえないような、少し彼を見下ろしたようなそんな態度で、ゆっくりと言葉を放った。少しずつ気持ちが高揚していく。私はすっかり少年のご主人様の気分だった。

少年は安心したように、首を縦に振って、そしてベッドに横たわった。私は徐(おもむろ)に少年の髪を撫でた。柔らかくてさらさらとした真直ぐな髪。蒼いということは、体の末端まで蒼いのだということを触感を通じて感じていた。

このままこの蒼さを汚してしまおうか、それとも・・・。不埒な考えを巡らせながら、髪を撫でる。髪を撫でると言うことは、相手に欲情し始めている表れであると聞いたことがあるが、強ち嘘でもないかもしれない。無抵抗な少年の真直ぐな髪は、私のご主人様への真直ぐな気持ちとよく似ていた。

少年はびくっと体を動かしたが「大丈夫。何もしないから・・・おやすみ」と私に言われると、何かを諦めたように、ゆっくりと目を閉じだ。

私が少年に恋をしていれば、そんな簡単に釈放することはしないだろうが、私たちの関係ではここまでが限界だ。女は本能的に、そこが性的な空間か否かを嗅ぎ分ける嗅覚を持っている。私たちには恋愛の真似事はできても、本物の恋愛になる空気は持ち合わせていなかった。

不埒な考えを打ち消して、私も少年の横で眠ることにした。私はいつまで、ご主人様と逢えない時間をこうやって埋めていけば良いのかと、考えを巡らせながら・・・。
2004年01月28日
■ SUCK MY CHERRY



あなたは繰り返し愛の言葉を囁いた。

虚実入り混じったその曖昧な囁きは、
私を困らせ、そして喜ばせ、甘い混乱を予感させる。
決して安定することの無い、快楽の狭間で私を悦ばせる。

私は抵抗しない。
愛していると言われれば、愛していると、同じ言葉を繰り返し、
抱かれれば、そのまま、あなたの体の窪みに、
私の体をぴったりと当てはめるだけだ。
あなたのインスタントな愛にふわふわと浮いて、
快楽を貪る刹那な贅沢。

私が気持ちよく快楽の中を浮遊しているその途中で、
あなたは何かにイライラしながら力任せに私を捕らえた。
そして、私に突然、小さなお仕置きを施した。
ピリッとした痛みと生暖かい舌の感覚が体に響く。
甘い痛みに耐えながら、強張った体のその部分が、
少しずつ潤んでいくのがわかる。

白い肌に咲いた赤い小さな花は、
私があなたのものである印なのだろうか。
私はとっくにあなたのものであるのに、
あなたは一体何のためにそこに刻印を入れるのだろうか。

私が囁く愛の言葉に偽りは無い。
今のこの瞬間だけ、もしくはこの余韻が残る限り、
私はこの上なくあなたを愛している。

なぜなら、あなたは誰も見つけることの出来なかった、
私の気持ちいい場所をよく知っているから。
私の体の奥の方や、心の手前側にあるそれを
いとも簡単に探り当てて、優しくそこを撫でるから。

体があなたを愛しくなったら、心があなたを欲したら
もう一度、誰も触れてくれないそこを撫でて欲しくなったら
あなたに逢いに行くから。
だから、あなたは変わらずにその場所で待ってて欲しい。
2004年01月11日
◆ 奪われていく快楽


奪われていく・・・あなたに。
後ろから、前から。予想も出来ないような死角の方向からあなたに囚われて。
目隠しをされ、口を塞がれて。ただ、ひたすら。ただ、一方的に。

あなたがおもむろに取り出した、一本の鍵。
それは私の心と体を抉じ開けることの出来る魔法のスティックで、
あなたは不敵な笑いを含みながら、それを宙でくるりと回して、
たったそれだけのことなのに、私はもうそれだけで動けなくなっていて。

体を無理矢理開かされて、魂を無理矢理掬い出されて。
あなたの前でその存在ごと丸裸にされて
私はもうただあなたに従うしか道は無くなっていた。

あなたに奪われていく。
心とか体とか、そんな程度のことではなくて、
その自分の存在ごと奪われていく予感に震えていた。
何の見返りもなく、何も与えられず、ただ、ひたすら。ただ一方的に奪われていく、
そんな足跡を何も残さないようなやり方で私を侵食していくのだろう。

始めのひとしずくは、くすぐったいような、甘酸っぱいような、甘美な奪われ方で、
私はそのくすぐったさに感じながら、奪われていく新しい快楽を知り始めた。

ふたしずくめは、少し痛いような、でも快楽は果てしなく襲ってくるような、
それでいて何かを与えられているかと錯覚するような奪われ方で、
でもそれは錯覚だと分かっていたから、私はその狭間に溺れながら
このままいっそ全てを失ってもいいと思うような自虐的な快楽を感じ始めていた。

更に奪われていく快楽は止めど無く、
それは段々と諦めに似たような、投げやりな快楽で
あなたは私をどこまで奪えるのだろうと、
もういっそ、あなたの望む通り、あなたの人形になってしまって
ずっとあなたに使われながら、あなたに喜んでもらえたらどんなにいいかと。

でもそれは、私の叶うはずも無い、消え入りそうな希望なだけで
あなたは私という道具を使えなくなるまでただ奪って
そして使えなくなったら、それで終わりという、そんな一方通行な関係なだけで。
私に許されたことは、
あなたにただ奪われていくことを幸せに感じることだけなのか。
2003年11月30日
■待つだけ



重い扉。赤い店内。濃厚な空気。
その扉を開ければ、私が待ちわびていた非日常のそれが私を待っている。

ああ・・・やっと。
私は疲れ果てた日常を溜息に乗せて、一息残らずその場に吐き出した。
ああ。この空気。この濃密な空気が無くては始まらない。
非日常の空気を吸いこんで、非日常の自分を身支度する。

美しいご主人様は筆頭の奴隷とお楽しみ中のようだ。
主の邪魔になら無いように、部屋の片隅に座ってコトが終わるのをじっと待つ。

わがままを言わないことも主に可愛がられる要素の一つなのだと
私は一体どこで学習してきたのだろうか。
体に染み付いた哀しいサガを恨めしく思いながら、
主が気づいてくれるのだけを静かにじっと待つ。

気がついてくれれば私は待った分だけ救われるだろう。
気づいてくれなければ自分の無力さにただ虚しさを覚えるだろう。

私はそのことで主からの愛情を測ろうとしているのだろうか。

本当はこんなところでじっとなんかしていたくない。
そう言って、自分の感情のままに相手に飛びこんで行けたらどんなにいいだろう。

でも私には出来ない。
私には待つことしか出来ない。
私に手が差し出されなければ、その先には進めない。

だから、私は・・・奴隷なのだ。
2003年07月02日
■ 破壊



私はいつも壊されたいと思っていた。
強くて愛しい男にお前を壊してやりたいと言われるのは、最高の愛の言葉だった。
私は情事の途中で壊れるという言葉をよく口にしていた。

それは波のように快感が何度も押し寄せてきて
体がばらばらになってしまいそう瞬間だったり、

体ごとどこか遠くに連れて行かれてしまいそうなエクスタシーに届く瞬間だったり、
愛しすぎて涙が止まらなかったりするときによく口にする言葉だった。

私は体だけでなく魂の神髄から、愛しい人に壊されたいと思っていた。
でもそれと同時に、ばらばらに壊された後の姿について不安にも思っていた。

壊されて、そのまま放置され、捨てられてしまうほど悲しいことはなかった。
あのときのことを思い出すと体が強張っていく。

「俺が壊して、そして俺がまた組み立てるから。
だから安心して壊れろ。俺の腕の中でばらばらに壊れてみろ」

そんなことを言われたのは初めてだった。
いや、それほど私との情事に覚悟を決めてくれた男は初めてだったのだ。
本物の言葉はストレートに私の心にめりこんできた。

そして・・・
私は壊れた。泣きながら、嗚咽を繰り返し、彼の腕の中で解放されていった。

精神が丸ごと裸にされ着ていた服も全て剥かれて
私は身も心もあなたの前で丸裸になった。

もう怖いものは無かった。
私の体は全てが敏感に感じる場所になり
あなたの厳しい責めも、優しい愛撫も、体中を濡らしながら悦びに浸った。

真っ直ぐな愛情を受けると女の体はこんなにも感じやすい体になるのかと
私は驚きそして幸せに浸っていた。
2003年06月06日
■ 触れる


あなたが私に触れた。
無感情に私に触れた。

こんな時は、自分だけの一方通行の愛がイタイ。
感情のない愛撫にも感じる自分が哀しい。

あなたはこの状況を楽しんでいるのだろう。
その目は冷たいナイフのようにサディスティックで
口元には薄い微笑が浮かんでいた。

あなたが私に触れた。
指先だけで私に触れた。

指先を指の間に這わす。
私を覗きこむようにしてゆっくりと指を重ねる。
濡れた瞳は、体全体が潤み出した証拠だ。
あなたに証拠をとられないようにそっと下を向く。

指に力が加わる。
私の体の変化など、とっくにお見通しなのだろう。
だからこそ、無感情に愛撫が強まっていく。
あなたが、被虐の心を読み取るサディストであることを、確証する瞬間。

体が小刻みに震え出した。
愛しい人に自分の体のパーツを弄られるのは、
なんと気持ちいいものなのだろうか。
触れられる毎に、皮膚がそれに反応して、
体中の血液がその場所に集まっていく。
集まって、びくんと波を打つ。

私の手をあなたの太腿の上に乗せて
まるで拘束するかのように、力を加えて私の手を握った。
囚われた私の手に、あなたの足と手の感触が交じり合って一辺に伝わってくる。

愛しい人の太腿の上は、この世で一番セクシーなパーツだと思うほどに
その感触はとてもセクシャルで、私の淫らな気分を高揚させた。

私をこんなにさせておいて、あなたは何一つ変わらないままだ。
自分ばっかりおかしくなることに羞恥心が上塗りされて、
体は最高潮に届く予感がした。

あなたはそれを感じ取ると、その手前で手を離し私を解放した。
逝くことを阻まれた奴隷のように、私は力なくその場にうな垂れた。

愛しい人。恋をしてはいけない相手。
指先だけで、私をここまで導く人。
嘘でもあなたに愛されることがあったなら、
私はいったいどうなってしまうのだろうか。
2003年05月29日
■ 縛り付ける



私を縛れるものなど何もなかった。

赤いロープで縛っても、鉛の鎖で繋いでも、
いつかは外され、解放のときが来る。

鞭で打たれ、体にあなたの所有物の烙印を押されたって
あなたに触れられていない孤独の時間が
その痕をきれいに風化させてしまう。

私は解放など望んではいなかった。
解放されない何かを欲していた。

拘束具を外されたあと、あなたが見えなくなったあと
私がひとりぼっちになったあとに
私はいったい何に繋がっていればいいのだろう。

私を縛りつけるものなど何もなかった。
2003年05月10日
■ジゴロ&ジゴレット



心にはどこかに必ず小さな隙間がある。
大抵の人は見逃してしまうほどのその小さな穴も
雄の感でそれを見抜いて、不遠慮に侵入してくる男がいる。

全てを包んでくれるような暖かい眼差しの奥には
全てを奪って破壊し、そして何もなかったかのように
あっさりとそれを捨ててしまうことの出来る冷淡な神経が宿っていて、
私は彼に見詰められただけで、それらを一瞬にしてそれを感じてしまったから
だから、私は罠に足を獲られた小さな動物のように、
震えて、目をつぶり、ただ彼が通りすぎていくのをじっと待つしかなかった。

私のことなど気づかないで欲しい。
あなたと目が合ってしまったら、きっと、私は、そう、たぶん。

あなたは私なんかに気づくはずはない。
あなたの仕掛けた罠には、大きな獲物も、きれいな毛皮も、たくさんある。
私のような価値のない獲物は、むしろ関わるだけ時間の無駄だ。
そんなことを考えながら、胸を高鳴らせて、彼が通りすぎるのをじっと待つ。

足音が私に向かってくる。ぴたりと止まって彼は私を覗きこんだ。
彼はその嗅覚で、私の潤んだ目を見逃さなかった。
ナイフのような鋭く冷たい目で私の心の奥の欲望をかき回す。
そうなったら私はもうされるがままだ。
痛くても苦しくても。魂の奥から血液が流れ出てこようとしても。

彼が私を彼の遊び道具として気まぐれに選んだらどうなるだろう。
私はきっと、彼の他の高級な遊び道具に負けじと、
従順に彼の望むまま、その身を削って、無償の愛を捧げるのだろうか。

見返りを求めるだけ、虚しくなる、ただ与えつづける愛に苦しみながら、
それでもいくばかりかの夢を見るのだろうか。
何も与えてもらえなくても、ただ足蹴にされる存在でも
足蹴にされることのみに悦びを感じられるのだろうか。

そこには何があるのだろう。
私は結局何を求めているのだろうか。それとも何も求めていないのだろうか。
ただ既成の自分の姿を壊して消えてしまいたいだけなのだろうか。

そして、その先には出口はあるのだろうか。

いけない。そんな男と関わってはいけない。
私が私でなくなってしまう。必死に守りつづけたアレが壊れていくから。
簡単に私の心の裏側に入ってくるような男とは関わったら
その先は・・・天国とセットで地獄が待っている。
2003年04月21日
■首輪


永遠を表す、まあるいモノ。

その柔らかい形。
それとも、決して終わらないエンドレスライン。

恋人からもらう指輪。ご主人様から頂く首輪。
目の前のそれを体に埋めこんで、自分が愛嬢であることをもう一度確認する。

私のまあるいモノ。それは首輪。

はじめは、一方通行な直線のこの首輪も
私の首に巻きつけてあなたが留め金をつければ、
それは、丸い形になって、永遠に回り続けるから。
たったそれだけのことなのに、心の奥のほうが高揚して色づいた吐息を漏らす。

あなたに首輪をつけてもらう瞬間。
それは永遠と服従を感じる儀式。

首は命を司る場所。
私は、あなたにここをつかまれている。
あなたに命を預けている。

そう考えるだけで、私の目は潤み、息は上がって、
体の奥がしっとりと熱くなっていく。

あなたは、そんな私の変化を見つけると、満足そうに微笑んだ。
あなたはいつだって、私の心の動きに敏感だ。
女の心の動きを読める男は、その人の今一番気持ちいい場所も知っているから、
それだけに、女の体を可愛がるのも、とても上手い。
彼は微笑んだまま、私のそこに指を入れて体の変化を確認した。

声にならない吐息が、何度もあなたの周囲に、ばらまかれる。
私は彼にたいして触れられてもいないのに
その存在に感じて、魂ごと快楽の絶頂に上り詰めようとしていた。
2003年04月14日
■ 欲望


私の欲望を聞かないで。

私の欲望はあなたと付き合いながら、
あなたと一緒に作り上げられるものだから。

あなたの声を聞いて
あなたのぬくもりを感じて
あなたの微笑を見詰めながら
少しずつ私は反応していく。

あなたという存在に反応していく。

その大きな手で、強い愛撫の如く、叩かれてみたい。
その凍るような強い眼差しで、私の存在ごと組み敷かれてみたい。
そのまっすぐな指を使って、私を探るように可愛がられてみたい。

あなたに反応した私はとめどなく欲望を噴出す。
ひとりでは出来ない作業。
あなたと一緒に作り出す作業。

私の欲望を引き出したのはあなた。
2003年04月01日
■CUT



あなたが私を切り刻んだ。

他の男と通じた罰だと言って、ナイフで私の体を切り刻んだ。
許しを乞う私の声は届かない。
私に固執して狂ったあなたが、ゆっくりと近づいてくる。
狂気に満ちた表情。
最早いつものあなたはそこにはおらず、
ナイフを握る恐ろしいほどに美しいひとりのサディストが、
そこに存在しているだけだった。
悲鳴にならない鈍い叫び声が、あたりに響き渡る。

私は取り押さえられ、息も出来ないほどに、きつく縛り上げられた。
動けば動くほど縄は更に体に食い込んだ。
私は覚悟を決めて目を閉じた。

プチプチ・・・・
皮が引き裂かれる鈍い音。
痛さと恐怖で私が泣き出すと、
美しいサディストは、無表情のまま髪を掴んで、何度も私の頬を叩いた。
痛みを通り越して、感覚も意識も遠くなっていく。

生暖かい赤い体液が体から流れてくる感覚で、
私は少しだけ正気に戻った。
腕に残されたあなたの所有物である証拠の刻印。

「自分の立場をよく覚えておけ。」
「その痛みと共に、体に覚えさせるんだ。」
狂気に満ちた目であなたが言い放つ。

私は、出来あがった傷を見つめて、泣き崩れた。
縄が解かれる。赤い体液がまた流れ出る。

そしてあなたは、更に私の体に鞭を打った。
容赦などなかった。
でも、少しだけ寂しそうでもあった。

私は、鞭打たれながら、泣きながら、
不安定だった心が終結して、もう一度あなたに向かっていくのを確信した。
2003年03月03日
■腐った果実



真っ赤に張りつめた果肉。
そこに針を刺せば、きれいに皮が破けて、
おいしい汁が垂れてくる。

熟す頃を過ぎて、
少し腐りはじめた真っ赤でおいしい果実。
堕ちてしまう直前が気持ちいいように、
腐敗する直前、果物は最高の甘い汁を出す。
捨てる前に、その禁断の甘みを味わってみようか。

一刺しの針で、薄皮がきれいに剥けて、
中から真新しい色をした肉が顔を出した。
痛みを背負って味わうこと。
腐敗の味に酔ってみたい。

そこから流れ出す果実の赤い汁を口に含む。
甘くて腐ったおいしい汁で、口の先が痺れていく。
痺れて興奮する。
きっと、私は口に残ったその痺れを忘れることはできないはず。

夢中で赤い汁を貪る。
その赤い汁を私の体内にトランスするかのように。
あなたの存在を私の体に収めるかように。

腐った果実。禁断の赤い汁。
これであなたと私は・・・・ずっと一緒。
2003年02月08日
■ SMの在る場所。



まるで事故にでも遭うように、恋に出会って、
あなたの中に堕ちていく恋に出会って。

そう、まるであなたに狩られた小さな生き物のように
射られた足を引きずりながら、そっとあなたの腕の中に傾れこんだ。

一人では何も出来ない心地よさを、
小さな息を上げながらあなたの腕の中で反芻し、
そうか、これが恋なのかと、そう呟いた時はすでに手遅れで、
私は日溜りの中でも、夕暮れの闇の中でも、
もうすでに自分一人では立っていられなくなっていた。

堕ちた恋が成熟し、発酵し、いい匂いを伴って、
これ以上、この恋はどこに向かおうか。

私の魂があなたの体に繋がりたいと叫んでいる。
充分過ぎるほど熟した恋。
もういっそ、私の体ごと全部、あなたの中に溶けてしまうことが出来たなら。

魂も体も一体となって、あなたの中に繋がって、
あなたの愛撫は、体ごと一緒に魂の底から掬い上げるから、
だから、あなたと作り上げる快楽はこの上なく、止めど無く。

どんなにも求めてもキリがない。何度果てても終わりがない。
気持ちよくて、苦しくて、悲しくて、だから私はその最中に何度も涙を流した。

ねえ、私たち、これ以上、どうしたらいいの。
快楽の先には何があるの。

見えないもので縛り付けるのには限界があるなら、
それなら、いっそ、見えるもので縛り付けて。
愛撫に限界があるなら、
あなたのその思いの強さの分、私を叩いて、そして壊して。

痛いけど、痛くない。苦しいけれど、苦しくない。
でも・・・でも辛い。
体の痛みと、心の満足が不思議なバランスを保って、
私たちは、いよいよ、禁断のその場所に足を踏み入れた。
2003年02月04日
■ 毒


毒。
・・・・毒。

毒を持って毒を制す。
あなたの中にあるとっておきの毒が、私の中の醜い毒を分解する。

巷に溢れているヤワな男のソレでは、私のココはびくともしないから。
だから私はあなたのそれが欲しい。
強くて、甘くて、そして副作用の強い、おいしいあなたの毒。
いいのそれで。そう、これが欲しかったの。

私はリスクを背負い、堕落の蜜を味わいながら、それで自分を解毒する。
安心や正義は、いらない。
手に入れて堕ちてしまえばいい。
私が欲しいものは、いつだって毒の中にある。

毒を持って毒を制す。
あなたの痛くて強い毒が、じんわりと体に入ってくる。
体の奥深くにぽっかりと空いた空洞が、あなたのその甘い毒で埋まっていく。

抜け出せない、あなたの毒から。
痺れる感覚。いっそ、ずっと痺れたままでいれたらいい。
そうやって私は今夜も毒にヤラレ、また更にあなたに落ちていく。。
2003年01月23日
■ 二人の御主人様



「おいで」
美しい人が囁いた。
長くて艶やかな髪。滑らかでサディスティックな美しい肢体。細くてしなやかな指。
彼女の目は加虐的なオーラを纏って、相手を跪かせる強い光を放っていた。

彼女の前では、自分の意思など存在しない。
微かに残る最後の羞恥心さえ、あっという間に取り上げられてしまう。

「早くしなさい」
私は彼女に吸い酔わされるように、のろのろと足元に跪いた。

彼女の傍には、縄を持った男が立っていた。
二人は、時折私をちらりと見ながら、
まるで恋人同士のように何かを囁きあっていた。
男は私の心の中を覗くかのように、私の全身を見舐めし、
そして、不意に私の体に縄をかけた。

彼女はそれを高見から見下ろしていた。
口元には薄く冷たい微笑を、瞳の端には鋭く立ちあがる剣を備えて。

男の視線はそれだけで私を犯した。
崇高なサディサトの視線は、それだけでマゾヒストを淫らにする。
彼に縄をかけられながら、視線で犯されながら、私は少しずつ息を上げていた。

彼の縛りには、温かな間があった。
縛りと縛りの間に小さな安らぎがあった。
彼はその間を通して、私のコンディションを把握して、そして責め立てた。
それはまるで彼のものを挿入されたかのような不思議な高揚感があった。
特別なことをしているわけではないのに、
その間が、縛りを通して、まるで自分が溺愛されているような錯覚を起こさせた。

エクスタシーの手前で細くしなやかな指が私の中に入って来た。
彼女は私が濡れているのを確認するとそれを掬い取り、私の口に押し込んだ。

私はそのまま、後ろから彼女の指に、前から彼の縄に犯された。
羞恥心で消え入りそうだった。
それでも全身を拘束されて逃げることは出来なかった。
観念した。観念したとたん体ががたがたと震え出した。
そしてそのままその場に果てた。
2003年01月20日
■続・ 吊り



<2>
部屋には観音開きの小さな窓が一つあるだけで
分厚いカーテンがかけられ外の様子などまったくわからない。
壁には、いくつもの鎖と縄が整頓され、革製品の造形物が飾られていた。

光は、テーブルに置かれたスタンドとカーテンから漏れるかすかな光だけ。
それでも、女を浮き上がらせるには十分な光量であった。
女は、白いシルクの布を一枚だけ身体に絡ませていた。
その布はスタンドの淡い黄色の光に照らされて白とのコントラストが
静かな空間をざわめきに変える準備ができたことを示していた。

女は、背もたれのある木製の椅子に腰掛けそのときを待っていた。
心の中は恐怖と恐れを感じ何か理由を考えて、
逃げ出してしまいたいとでも言うような心境であった。
しかし、いかなる理由を用意したところで、許されるはずが無いこともわかっていた。
何より、今から始まる全てのことが自分の性で、
安堵と安らぎをもたらすことをわかっていた。
それでも、恐怖を消し去ることができないでいた。

大腿部に置かれていた女の手に力が入り震えが襲った。
廊下に響く靴の音が「こつこつ」近づいてくるのがわかった。
その音は、ジェット機の騒音のように強制的に押し寄せ突然止まった。

鍵を開ける音が「がちっ」と響き、扉がゆっくりと開くのがわかった。
いままで、暗かった部屋が幾分明るさを増し、すぐにもとの光度を取り戻した。
女は扉に背を向けて座っている。
普通なら音の発生源を振り向いて確認するのであろうが、
凍ったように硬くなった身体はそれを許さなかった。
たったこれだけの時間がどれほど長く感じられたことだろう。

男は、足音を子気味よく響かせながら5歩進み女の後ろに立った。
その気配に目を閉じた女の決意は、
風に揺れるシャボンのように虹色の光を放ちながらも、
今にも壊れてしまいそうな気配を男は悟っていた。

■WORDS by Mr.eile ■
2003年01月14日
■ 吊り

<序>

縄は、流星のように天から降り注ぎ地に着くのを拒んでいる。
天井には、月の光に微かに浮かぶ雲のように、
鉄の柱が横たわって強い力を主張している。
柱に取り付けられた銀の金具たちは、
夜空を飾るうお座のようにそれぞれを繋ぎとめて出番を待っている。

<1>
 
時間は、正午を少し過ぎたころだろう。
未舗装の道は、欅の緑がまだ残る林を二つに分けて流れる。
流れが費えた先には、アルミなどの無粋な建材は一切無く、
木の特長を最大限に生かした重厚で繊細な洋館が風に雨に耐え、
年月を刻みながらも朽ちることなくたたずんでいる。


建物の前に立った男は少しばかりの階段を上り、
見るからに重量を感じさせる扉に手をかけると音もなく中へと導きいれられる。
外の世界とは打って変わって薄暗く、
太陽に慣らされた目ではその様子を伺うことは難しかった。
空気は冷淡で無愛想に力なの無い物の進入を拒んでいる。
開かれた瞳孔には、絨毯の敷かれたフロアーの先に
二階へ上がる階段が入ってくる。

まっすぐに歩き出しその階段を上り始めた。
階段を上りきると左右に廊下が続き、その双方とも扉に突き当たる。
男は、左に向きを変え足音だけが響く廊下を歩いていった。
扉には、数え切れないほどの人間がレリーフされていた。
その全てが裸撫した女性の姿で表情は安堵と喜びに満ちていた。

つづく

■WORDS by Mr.eile ■
2003年01月12日
■ 餌


そして、私は両手を捕らえられた。

あなたの手の圧が背中に強くかかる。
その手はまるで特別な魔術でも使ったかのように
私の日常をリセットさせて、そして従者としての私を芽吹き出させる。

私はまるで「伏せ」をする犬のような滑稽な姿で、あなたの足元に平伏した。
降伏の姿。服従の印。
主人に手の機能を取り上げられた、幸せな奴隷の姿。

私の前に小さな皿が置かれた。
その中には、少しばかりの食べ物が入っていた。
「さあ、ご飯だ。これがお前の餌だよ」
優しく、しかし逃げ場を与えない声であなたが囁く。

私は上目使いであなたを見上げる。手を捕らえられている姿のまま。
上手に舌を動かしながら、いやらしくその餌を食べることができたら
きっとあなたに誉めてもらえるはず。

あなたの目に促されながら、
私は口を動かして、舌をゆっくりと動かして、それを食した。

あなたは、目の前でそんな私の恥ずかしい姿をずっと見詰めていた。
恥ずかしい行為を見られれば、見られるほど体の奥が高揚した。

あなたに縛られて、食事をしているだけだというのに。
それはすでにエクスタシーのに近い感覚まで上り詰めていた。
この興奮はどこから来るものなのだろう。
そしてどこに向かうものなのだろう。

「いい子だ。手を使わずに全部食べられたね。とってもいやらしい表情をしていた。」
主の労いや満足を表す言葉は、私の居場所でもあった。
そしてエクスタシーを迎えた後、
あなたに撫でてもらうのはこの上ない至福のときだった。
主人に飼われるペットとはこんな気分なんだろうか。

私は、そんな感覚に心の奥から安堵して、そして開放感に浸っていた。
2003年01月08日
■ 放置



気が向いたときだけ、愛撫して、
気が向いたときだけ、鞭をふるって、

死なない程度に、簡単な餌を与え、
離れない程度に、適度に撫でる。

放置をした場所に、存在するもの。
試練。愛情。無関心。惰性。

従者とは、主にとって一体どのくらいの存在価値があるのだろうか。
そう嘆いて空を仰ぐのが精一杯のちっぽけな自分。

私はどこを見て生きていけばいいのだろう。
私は何を糧に歩いていけばいいのだろう。

無条件に、私を思うときがあるのだろうか。
無条件に、私を欲することがあるのだろうか。
私の思いと同じだけ、体を熱くするのだろうか。

私は狂ったようにその場をぐるぐると回り出す。
まるで触覚を無くした蟻のように。
まるで母の手を離してしまった迷子の子供のように。
出口の見えない苦しみから逃れるかのように
その場をぐるぐると回る。

ぐるぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるぐるぐるぐる

回りつづけても放置の苦しみからは逃れられない。
2003年01月04日
■ハニードリッパー



いつも甘い快楽ばかりを貪る男。
きっと彼の体の中は、甘い毒で蝕まれているに違いない。

甘ったるいコックテイルを啜り、
お気に入りの女たちを集めてその蜜を吸い、快楽の限りを尽くす。

「上等な女のその場所からは、甘酸っぱい蜜の味がする・・」
彼はいやらしく笑っていた。

その日男はとっておきの蜂蜜を持って現れた。
「俺は甘いものが好きでね・・・」
いつものセリフ。いつものパーティーが始まる合図の言葉。

彼はその蜂蜜を蝋燭と同じ位の温度に熱した。
そして女たちを全員全裸にして、その場に寝そべらせ、
彼の好みの格好を命じ、裸体にその上等な蜂蜜を垂らした。

熱い蜂蜜が体に落ちる。
「あ・・」女は快楽の吐息を上げた。
彼は少し強いくらいの刺激が、女のサガを解放し、淫らにさせる事を知っていた。

フロアの中が甘ったるい蜂蜜の香りでいっぱいになる。

男はそれをまるで蝋燭を垂らすように、
ぽたり・・ぽたり・・と女の体に垂らしていった。

口の中に・・胸に・・尻に・・
そして、足を開かせて・・・その中にも・・・

体の中から涌き出る蜜と、彼が与えた蜂蜜とが交わりあって、
女の体は快楽に溶け出していった。

「おいしそうだな・・・」

彼のお楽しみはこれからだ。
快楽でトリップしている女の体に塗りたくった甘い蜂蜜。
彼の舌で全て舐めとって、その甘さに酔うのだった。

舐め取る毎に、新しい刺激で女の体は快楽に蠢く。
甘いものが好きなハニードリッパー。
その甘さに酔いながら女を味わう。

ねっとりとした蜂蜜にまみれながら
女は新しい絶頂に何度も立っては落ちていった。

そう、彼はハニードリッパー。
きっと彼は、その甘い物に侵されながら、朽ちていくに違いない。


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